神の右手か

寺西菊雄作品『サンクチュアリ』晩秋最後の蕾が開花しました。
おそらく楽庭では、来春までしばしのお別れになる花でしょう。
緞帳が下りる前に麗しい衣装と肌質を披露してくれました。



比類なき美中の美

絞りきれない着物の裾から
襦袢が喚ぶ艶めかしさ
襟足にチラリと覗く正絹の戯れ
そっとあわせてみたいコケティッシュな唇


そんな妄想をぐるぐると展開していたら、
何か得体の知れない熱いものが両肩からずんずんと
身体の芯を貫いて爪先まで降りていったような感覚に陥り、
脚は麻痺して動けず
腰は砕け
自分の身体が仰天してしまったかと錯覚しました。


浄なる神の手が聖域に触れた瞬間
・・・を垣間見てしまったのでしょうか？




決して大輪の花ではないですが、その存在感は一輪でも圧倒的。
見つめるだけで胸が疼き神々しい輝きに鳥肌が立ちます。
弁底に輝く萌葱色はまるで後光が差しているかのようです。




これは10月中旬の一輪です。
素地の乳白色に紅を一筆挿して広げ滲ませたような極まる色。
肌理の細かいすべらかな質でありながらも、
透明感を損なわない粋があります。


花弁の反り返りは、この世のものとは思えません。
神の御業


言葉などこの美の前には魂の抜け殻に過ぎぬ、







バラよ！

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